目上の人を評価することは失礼にあたりますが、ほめることは別です。相手に敬意をもった表現であれば上司であってもほめることができます。
上手くほめることができれば、相手も気持ちよくなるはずです。
人間関係は、ほめるのが基本です。ほめられたら、誰でもうれしいものです。
ここでは「言われてうれしいほめことば」をご紹介します。
状況に応じた最適なほめ言葉は、相手を確実に持ち上げます。
ポイントは3つです。
相手をほめる3つのポイント
- 相手の話や言葉をほめましょう。
- 相手の人柄、能力、力量をほめましょう。
- 相手の努力、がんばりをほめましょう。
相手の話や言葉をほめる
人は自慢話をしたがる生き物です。目上の人が得意気に語り始めたら、たとえ興味のない話題であっても、しっかりと耳を傾けて話を聞く姿勢をとるのが大人としての礼儀です。
①じつに、すばらしい
「すばらしい」の前に「じつに」を加えると上級のほめ言葉になります。
- じつに、すばらしい出来栄えです。
- じつに、すばらしいスピーチでした。勉強になります。
②いや、恐れ入りました
敬服する気持ちを十分に表した、ほめ言葉フレーズです。
- いや、恐れ入りました。
- いや、恐れ入りました。部長にはかないません。
③うらやましい限りです
目上の方にありがちな自慢話は、その人の人生のストーリーを感じさせられるエピソードも多く、人生の先輩としての教育的視点で語られることも少なくないでしょう。そのような自慢話が語られ、山場を迎えた段階で「うらやましい限りです」と伝えると、相手は気持ちよくなること間違いありません。
④それは何よりです
目上の人から家族や趣味などの自慢話を聞かされたとき、当然否定などできませんが自分とは無関係な家族や、無関心な趣味に対してはどんな言葉で応じればよいか、言葉に詰まるものです。
相手が気持ちよく話せるように応じるには「良かったですね」というフレーズも使えますが、好きなことについては話も長くなるとことでしょう。
⑤強運ですね
ラッキーな出来事があったり、運のよい話を聞いたときに使えるフレーズです。運を引き寄せる能力があるという意味合いでほめます。
- それは、強運ですね。やはり部長は引き寄せる何かをお持ちなのですね。
- とてつもない、強運ですね。
「ラッキーですね」「運がいいですね」だと「実力はないけど、運だけはいい」という意味合いに捉えかねません。
⑥ご卓見(たっけん)
「卓見」とはすばらしい意見のことです。相手の素晴らしい意見をほめるフレーズです。
- 課長のお考え、まさしくご卓見だと思います。
- 先生のご卓見をお伺いしたいと思い、参りました。
⑦目のつけどころが違いますね
仕事をしていると、目上の人や上司から新たな発想や助言をいただくこともあるでしょう。
あいづちをうつ時や、受け答え時のとっさのひとこと敬語もオススメです。こちらもぜひご検討ください。
⑧何でもご存知なので、かないません
相手の知識、情報量、ネットワーク、人脈に対してほめるフレーズです。
- 社長は何でもご存知なので、かないませんね。
「何でもご存知なんですね」だけだと単なるゴシップ好きだと皮肉っているように聞こえかねませんので「かないません」と一言添えるのがポイントです。
相手の人柄、能力、力量をほめる
下の人が上の人を評価することは失礼にあたりますので、目上の人に賛辞を贈るときは、十分な注意が必要です。
①感服しました
年齢や経験、立場などに大きな開きがある相手に対して称賛するとき、「すごいですね」と言っても敬意が伝わりません。そんなときに使えるのが「感服しました」という表現です。
②ご人徳ですね
「人徳」とは、その人の身に備わっている徳のことです。上司や顧客が部下から慕われている様子を目にしたときには、「ご人徳ですね」と表現すると感服したことを伝えられます。
③やはり格が違いますね
相手の地位、経験、実績などが物語る通りにすばらしく、明確に自分と差がある場合に相手の格を持ち上げる称賛フレーズです。
④聞きしにまさる○○ですね
相手の能力や力量に感心し、ほめるフレーズです。
- 話には聞いていましたが、聞きしにまさる敏腕ですね。
⑤まことに深いご洞察(どうさつ)です
相手の眼力、見識をほめるフレーズです。
- まことに深いご洞察ですね。感服いたしました。
⑥尊敬の念を抱いておりました
尊敬している気持ちは、少々重々しく表現した方が気持ちが伝わります。
- じつは、かねて尊敬の念を抱いておりました。
⑦脱帽(だつぼう)いたしました
「脱帽」は帽子を脱ぐことです。相手の技量を敬服する気持ちを表す、驚いたときに使うフレーズです。
- 入社2年目の作品ですか?彼の技量には脱帽しました。
⑧兜(かぶと)を脱ぐ思いです
もともとは降参するという意味ですが、慣用句としてほめるときに使います。
- お見事です。兜を脱ぐ思いです。
⑨お顔の広さに、舌を巻きました
相手の人脈の広さに感嘆するほめ言葉です。
- 社長のお顔の広さに、舌を巻きました。
⑩光栄の至りです
「光栄です」に「至り」を足すことで、さらに敬意を込めた社交辞令になります。
- 会長とご一緒できるとは、光栄の至りです。
⑪○○という言葉がぴったりの方です
○○にほめ言葉を入れて、ほめるフレーズです。
- まさに、〇〇という言葉がぴったりの方です。
- マイスターという言葉がぴったりの方です。
⑫できる人に仕事は回ってくるものですね
相手の能力や力量をほめるフレーズです。いつも忙しそうにしている同僚、先輩、上司に対しても使えます。
- 課長。やはりできる人に仕事は回ってくるものですね。何かお手伝いすることがありましたら何なりと。
⑬頼もしいかぎりです
相手の力量を頼もしく思い、持ち上げるほめ言葉です。
- 営業部長とご一緒できるとは、頼もしいかぎりです。
- 後ろ盾、頼もしいかぎりです。
「後ろ盾」とは後方支援のことを言います。
⑭私どものお手本です
上司や先輩を持ち上げるときに便利なほめ言葉です。
- 課長の仕事への姿勢は私どものお手本です。
- 部長をお手本にここまで、がんばってきました。
⑮○○的存在と伺っています
○○にほめ言葉を入れて、ほめるフレーズです。
- この業界のパイオニア的な存在と伺っております。
- 決して表に立たれない、常に裏方的な存在と伺っております。
⑯プロ
「プロ」と表現することで、相手の力量を持ち上げるほめ言葉です。
- やはり、プロの見解は違いますね。
- プロの技術を見させていただきました。
相手の努力、がんばりをほめる
自慢話の中には過去の苦労話が語られることもあることでしょう。
①ご苦労なさったのですね
苦労話であってもあなたの教訓となればと思って語られることが多いので、その気持ちを真摯に受け止めつつも「ご苦労なさったのですね」と一言伝えることができれば、あなたの共感する気持ちが伝わり、相手は気持ちよくなること間違いありません。
②頭が下がります
「頭が下がる」とは、深く感じ入り、相手を尊敬せずにはいられないという意味の言葉です。人知れず、目上の方などで、その立場の人がやる必要のない面倒な作業などを日々こなしている人がいるとしましょう。
③何か、若返りの方法でも?
相手が自分の若さについて自慢げに話を持ち出してきたときに使うと良いでしょう。
- 何か、若返りの方法でもあるのですか?
④とうとう夢をかなえられましたね
大きな目標を達成した人に対するほめ言葉です。
- とうとう夢をかなえられましたね。
- とうとう望みをかなえられましたね。
⑤ご活躍と伺っておりました
相手の活躍ぶりを風の便りに耳にしたときに使う社交辞令です。ほめ言葉として使います。
- 起業なさったのですね。ご活躍と伺っておりました。
- ごぶさたしています。ご活躍ぶりは風の便りにご健在と伺っておりました。
⑥お心構えが違いますね
その道の達人クラスを持ち上げる、ほめ言葉です。
- さすが、私どもとは、お心構えが違いますね。
⑦日頃の鍛錬(たんれん)の賜物(たまもの)ですね
結果に対して日々の努力をほめる言葉です。
- 技量検定おめでとうございます。日頃の鍛錬の賜物ですね。
⑧すばらしいお心がけですね
日々の努力をほめる言葉です。こちらは目上の人に対しては、上から目線のフレーズになるので使えませんが参考までに。
- すばらしいお心がけですね。これでいざというときも安心です。